【ご招待企画】キッザニア甲子園

2022.03.22 参加者の声

2022年2月15日に開催致しました“キッザニア甲子園ご招待イベント”に参加されたご家族から活動レポートが届きました!

今日は参加されたご家族の声をご紹介致します。

 

私の兄は5歳のとき、白血病で亡くなりました。私が生まれる前、今から約50年前のことです。兄の余命3カ月を告げられた両親は、自宅近くの病院に連れ帰り、最後を看取ったそうです。兄の命日に母は必ず墓前に小さなカップヌードルと炭酸ジュースを供えていました。お供え物とは縁遠い品に幼かった私はなぜそんなものを供えるのか母に尋ねると、母は、「お兄ちゃんは病院で亡くなるまで『一度でいいからカップヌードルを食べてみたい。炭酸ジュースを飲んでみたい』と言っていたの」と泣きました。好きなことができなかった兄の悲しみと、好きなことをさせてやれなかった母の無念さを幼心に感じたのを覚えています。

時が経ち、私も三人の子の母になりました。そして末の娘は小学4年生の時、左目の視力を失ったことで脳腫瘍と判明し、自宅から遠く離れた病院での長い入院生活が始まりました。亡くなった兄が最初に治療を始めた病院でした。そこで寝泊まりしながら付き添いをしていた私は、明け方のデイルームで、ふとあるパンフレットを手にしました。

そこには、娘と同じように病気と闘っているお子さんたちが、憧れの野球選手に出会ったり、イルカと触れ合ったりとそれぞれの夢を叶え、笑顔いっぱいの写真が載っていました。「やりたいことができる。なんて素敵なことなんだろう。」病に負けず、懸命に前を向いて生きようとする姿に勇気をもらうと共に、そんな子どもたちの夢を叶えてくれるジャパンハートの存在をその時初めて知りました。

それから半年後、娘は手術や化学療法を経て、退院することができました。

自宅療養をしながら復学を叶えることはできたものの、体調によっては登校できなかったり、友達と同じようには行事に参加できなかったりと、制限は否めませんでした。

そんな時、ジャパンハートのスマイルスマイルプロジェクトを知ったのです。

「あの時の!」とすぐに思い出し、ぜひ娘にもイベントに参加させてやりたいと思ったものの、申し込みをためらう自分がいました。娘の退院後しばらくして、自分自身の病気が判明し、二度目の手術を控えていた時だったからです。

しかし勇気を出して申し込んでみたところ、ジャパンハートのスタッフの方々とやり取りをするうちに、不安な気持ちは消えていました。

事前の打ち合わせには、私が入院する病院までスタッフの方が足を運んでくださいました。初対面にも関わらず、本当にあたたかく寄り添って話を聞いてくださり、こちらの不安要素が全てなくなるまで丁寧に打ち合わせをしてくださいました。また当日を迎えるまでの間に、メールやLINEで随時連絡をとってくださり、私の入院中には自宅に当日の細かいスケジュールやパンフレットなど郵送で送ってくださるなど、きめ細やかに対応してくださり、本当に安心しました。

そして迎えたイベント当日。現地に向かう車中でさえ娘はワクワク感が抑えきれないようでした。集合場所でスタッフさんやボランティアさんに初めて対面したときは緊張していた娘も、皆さんに優しく笑顔で接していただくうちに、すぐにうちとけてはしゃいでいました。

娘にとっては生まれて初めてのキッザニア。私も退院して間もなく、体調にも不安を感じていましたが、ボランティアさんがすでに丁寧に下見をして計画を立ててくださっており、また皆さんが娘の体調はもちろん付添いの私にまで無理がないように心を配ってくださり、とてもありがたく感じました。

娘の希望をできるかぎり叶えようと、そして少しでも楽しい時が過ごせるようにと、スタッフさんやボランティアさん、カメラマンさんが、常にあたたかい言葉をかけてくださり、寄り添ってくださいました。

キャビンアテンダントや声優、ソフトクリーム屋さんなど、事前にやってみたいと希望していたブースはもちろん、ボランティアさんの機転のお陰で幸運にも体験することができたファッションモデルなど、娘は夢のような時間を過ごすことができました。娘の体力を考えても、きっと途中でしんどくなって帰ることになると予想していたのですが、驚いたことに娘は普段では考えられないほど元気に過ごし、最後まで活動を楽しむことができたのです。それは支援してくださった皆さんのあたたかいサポートのおかげでした。娘の満面の笑顔と、楽しくてしかたがない様子を見て、こんなすばらしいイベントに参加させていただいて本当に良かったと胸がいっぱいになりました。我が子に好きなことを何の不安もなくさせてやれる幸せ。兄や母のことを思い、涙が溢れそうになりました。

「楽しかったー!きっと神様がご褒美をくれたんだね!ありがとう!」イベントの帰途、娘がうれしそうに言った言葉のとおり、今回の経験は私たちにとって思いがけない最高の贈り物になりました。しかしそれ以上に、このスマイルスマイルプロジェクトの方々と出逢えたことが、何よりの宝物になった気がします。

娘の闘病中には、私たちがあのパンフレットの子どもたちのように、こんなに幸せな体験ができるなんて思いもしませんでした。ジャパンハートのことを知らなければ、きっと私も兄と母のように、我が子が「やってみたい!」と思うことがあったとしてもあきらめてしまっていたことでしょう。今この時にも病気と闘っている子どもたちやご家族の方々にもジャパンハートのことを知ってもらい、一人でも多くの方が笑顔あふれる幸せな時間を過ごされることを願っています。

またいつか、スマイルスマイルプロジェクトの皆さんと再会できる日を心から楽しみにしています。笑顔あふれるかけがえのない時間を、忘れられない思い出を本当にありがとうございました。

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