SmileSmilePROJECTの活動や体験をふりかえって

2019.04.08 お知らせ

こんにちは、アドバンスドナースの金です。
現在SmileSmilePROJECT(以下略:SSP)を担当しています。3月でアドバンスドナースとしての活動を終えるため、この場を借りてSSPの活動や私の体験の一部をシェアさせていただきたいと思います。

皆さんはSSPの活動をご存知でしょうか?
ジャパンハートの国内事業のひとつで、小児がんの子どもとその家族の応援団として全国津々浦々家族旅行の付き添いをしています。
「へえ~、そんな活動があるんだ」「聞いたことある」と思った方、実は私も1年前まではそうでした。
「子どものがんって大変なんだろうな。長期的に辛い治療をしている子どもを目の当たりにしてもきっと自分にはどうしようもない…」と敬遠し、やりたい誰かがやればいいと人任せにしていたのだと思います。

私がSSPに足を踏み入れたきっかけは、長期研修中にカンボジアで神経芽腫の男の子を受け持ったことです。
当時その男の子は無事に退院していったのですが、その後私がカンボジアから帰国することが決まった時にまず思い浮かんだのが、受け持った男の子への強い後悔でした。
もっと「何か」できる事があったのにやらなかった自分と無力感をそのままにしたくなくて、自分にできる「何か」を掴むためSSPに関わることを決意しました。

ボランティアとして

始めは宮城県女川町で常勤の看護師として働きながら、休みを調整してSSPの旅行やイベント当日のボランティアに行くという関わりでした。
Nちゃんご家族に2泊3日同行した時、私ができたことは下の妹たちと遊び回ること、時々Nちゃんの顔色やバイタルサインのチェックをして、両親と雑談をしながらこれまでの治療のお話聞いたこと。後日SSPスタッフに旅行付き添ってみてどうだった?と聞かれ、何故かうまく答えられませんでした。子どもの笑顔が見れたり願いが叶ってなんとなく良かったと思うけど、あれで本当によかったのかな?という感覚が残ったからだと思います。他のイベントでも、心がほわっと温かくなるのを感じるものの具体的に何がそうさせているのか分かりませんでした。

運営として

何度かボランティアを経験するうちにSSPのより深いところを見てみたいと思い、志願してジャパンハート東京事務局でSSPの運営に携わる機会をいただました。

現在SSPではだいたい月1件程の旅行とイベントがあります。
各企画に対し前後にかかる連絡調整・準備などにも関わるようになって、こんなに沢山の人が善意で動いて下さって成り立っていた活動だったのかと思い知らされとても衝撃を受けました。
私も必死に旅行先の周辺の環境を確認、ホテルの予約交渉、病状と体力の把握、病院からの移動手配、緊急時の連絡、旅行計画作成、旅費の精算、SSPボランティアの連絡調整等…慣れない業務をこなします。大変な仕事だと思うこともありますが、今まで病院で看護師としてやってきた範囲を越えて、看護師である前にひとりの人として子どもたちやご家族に向き合える実感がとても嬉しく、何をするにも楽しかったというのが本音です。

みんなの想い

ある日担当をしていたKちゃんのお母さんから、Kちゃんがお星様になったとお知らせがありました。

その時Kちゃんのお母さんが言ってくれたのは「最後までKちゃんらしく病気と闘って、誇らしく思っています。皆で楽しい時間を過ごさせて頂いた事を心から感謝しております。友人たちが旅行のレポートも見て、本当に喜んでくれました。」という言葉でした。

こうして後から旅行のことを思い出して連絡を下さること、改めて感謝してもらえたことはとても励みとなり私の宝物になりました。Kちゃんの人生を私も誇らしく思い、その一時に関わることができて幸せ者だと思っています。旅行に直接関わった人だけでなく、ご友人や担当の医療者にも喜んでもらえたというお話も色々と考えさせられます。

私にできる「何か」とは?Kちゃんやご家族に何ができたのか?という問いの答えはこうして後になってぽつりぽつりと返ってくることがあるのだと知りました。旅行の準備に奔走したこと、きょうだいと遊んだこと、ご家族や親戚とお話したこと、活動レポートを書いたことさえも…みんなのKちゃんへの想いが影響しあって、Kちゃんやその周りの方にとって一生に残る、大切な思い出やかけがえのない時間になるのだと教わりました。つまり旅行中血圧を測るとか、痛みを軽減させてあげられるということだけが私のできることではないということです。

約1年SSPで活動してきましたが、まだまだ言葉にならない思いが沢山あります。迷うことも沢山あります。
それでも、「病気と闘う姿で皆に勇気と希望を分けてあげよう」と託してくれた子どもたちの勇気と希望をしっかり受け取って、より多くの人たちに分けてあげたい。この気持ちだけは忘れずに、これからも私にできることをやっていこうと思います。
この事業の担当をすることが出来て本当に良かった。子どもたちや支えてくださる皆さんとの出会いに心から感謝いたします。
ありがとうございました。

アドバンスドナース(SmileSmilePROJECT担当) 金アンナ

関連記事